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2004年10月14日

ヒルで血を吸い出す昔の治療法は復活するか

病原菌が体内に入ったと思われる場合、昔の人は、ヒル(蛭)(leech)を使って、患部の血を吸わせた。こうすると、感染が防げるという知恵がそこにあった。
この療法は、あまりに原始的、不衛生、と言われて、20世紀の半ば、抗生物質の登場ととともに、現代医学から姿を消した。しかし、あらためて、この昔の知恵に日の目を当てる研究を行った人がいて、その結果が、9月9日発行の科学誌「サイエンス」(Science)に掲載された。
ヒルは、体長数センチ、長いものでは40センチもある環形動物で、体中に吸盤があって、動物の血を吸う。子どものころ、よく、池や田んぼや草むらで遊んでいてヒルにかまれて、血を流したことがあった。そのヒルに、わざわざ血を吸わせると言うことは、どういうことなのか。
この研究を行ったシカゴ大学の微生物学者、エリック・スカー博士は、肺炎などいろいろな感染症を引き起こし、食中毒の病原菌にもなる「ブドウ球菌」(staphylococcus)を使って、実験をした。その結果、この菌をマウスの血液に接触させると、菌はまず、赤血球に“風穴”を開けて、中にある鉄の化合物で、酸素運搬の働をしているヘモグロビンを奪い取っていることを突き止めた。そして、博士らは、この一連の動きを支配している遺伝子を見つけた。次に、研究者たちは、この遺伝子の働きを弱めてやると、菌の感染力が落ちて、マウスは病気にならなかったのだ。つまり、細菌が感染力を発揮するには、血液中の鉄分が必要である、との結論を得たという。したがって、細菌に接触しても、鉄分を遮断してやれば、感染しないということになる。ということは、細菌の周辺から血液を排除すればいい、ということになる。ヒルに血を吸わせれば病気にならない、という昔の知恵はこれで説明できる。
ヒルに血を吸わせるのが原始的で、不衛生なら、この原理を利用して薬剤を開発できるだろう」とスカー博士は述べている。