2004年10月06日
アルコール中毒になりやすい体質と、うつ病にかかりやすい傾向は、どうもお互いに関係が深く、しかも、その家系があるらしい、ということが、双子の研究などによって、以前からよく言われていた。その二つの症状に共通している一つの遺伝子が発見された。分子レベルで、アル中とうつ病の結びつきが明らかにされたのだ。
これは、学術誌「人間分子遺伝学」(HumanMolecularGenetics)2004年9月号で報告された。「CHRM2」というこの遺伝子を発見したのは、ワシントン大学(ミズーリ州セントルイス)医学部の精神医学遺伝学者、アリソン・ゴート博士らの研究チーム。博士らは、家系のなかに少なくとも3人はアル中がいる、という262の家系の2310人からDNAを採取して、これを分析した。これらの家系には、うつ病の人たちが含まれていたケースも多かった。調べた結果、アル中とうつ病の両方の傾向が強い家系の人たちのDNAには、他には見られない類似した特徴があり、これから遺伝子の存在を突き止めたのだ。ゴート博士は「別のグループも調べて、同じ結果が得られれば、この遺伝子とアル中、うつ病との関係がいっそうはっきりする。他の研究者も是非同様の試験をして、アル中とうつ病を支配している遺伝子を確認してほしい」と述べている。
ロンドンのキングズ・カレッジにある精神医学研究所の精神医学遺伝学者、ピーター・マクグリフィン博士は、「この遺伝子と、アル中、うつ病との関係が間違いないと分かれば、これはすごいことだ。とくに、うつ病の遺伝子が存在するということになれば、うつ病解明のための、はじめての手がかりとなるだろう。さらに、アル中とうつ病の2つの症状を目標にした新薬を開発することも可能になるだろう」とコメントしている。なお、アメリカには、アル中患者は790万人、うつ病患者は1880万人いると言われている。