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2004年09月20日

肥満患者のための改造ラッシュ--米の病院

アメリカ人の65%が「太り過ぎ」(BMI25以上)、31%が「肥満」(BMI30以上)と言われ、オーバーサイズの時代の流れは止どまるところを知らない。BMI(body mass index )というのは、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った値のことで、20から25が正常。太り過ぎ、やせ過ぎを判断する基準となっている。この肥満化の影響が、米社会の各方面に難題を投げかけている。
一人分の座席では座り切れない人たちが増えたので、交通機関は頭を抱えている。仕方がないので、肥満者に2人分の運賃を払わせるようにした航空会社もある。病院も肥満化の波をもろにかぶって、悪戦苦闘している。ベッドに寝ている肥満患者を抱き抱えて起こすのに、看護師5、6人ががりだ。そこでいま病院は、多額の資金を投じて、ベッドその他あらゆる設備を大型化する改造に乗り出している。
まず、重量制限300ポンド(135キロ)のベッドや車椅子を、倍の600ポンド(270キロ)まで、耐えられるようにするところが多い。大型家具を取り扱っている、テキサス州サンアントニオの「カイネティック・コンセプト社」(Kinetic Concepts Inc )の肥満患者のための大型ベッドと関連設備の売上げは、昨年のは2億8200万ドル(3000億円)で、前年比6%増だ。同社の販売担当は、「大型の患者が病院にどんどん増え続けています」と述べ、売上げはまだまだ伸びると見ている。
ラスベガスにある肥満者のための大型設備を貸し出している「サイズワイズ・レンタル社」(SIZEWise Rentals)の業績は、このところ、年率15~20%の伸びを示している。両社によると、病院側からは、最大1000ポンド(450キロ)の重量に耐えるベッド、あるいは、幅32インチ(81センチ)の車椅子を用意してほしい、という要望が出されているという。もちろん、こういう大型のベッドなどは、価格も大型で、通常の病院のベッドが平均2000ドル(22万円)なのに対して、肥満者用のベッドは、3倍の6000ドル(66万円)もする。カンザスシティにある家具製造業者「バークモビリティ・プロダクツ社」(Burke Mobility Products )のデュウエイン・クレマー社長は「とにかく、病院で使う家具や器具に対する従来の発想を、すべて変更しなければならなくなりました。当初、われわれがこの仕事を始めたころ(1979年)には、病院では、肥満患者は入ってくると、とっさの機転を利かせて、ベッドを2つつないだり、患者を床の上に直接寝かせたりしたものでした」と話している。テキサス州アービングにある「ノベーション社」(Novation Inc)は、患者の体を起こす器具である「リフト」の売上げが2001年には84万7000ドル(9300万円)だったが、2003年には、これが300万ドル(3億3000万円)に跳ね上がった。
肥満者用の病院設備を導入することで恩恵を受けているのが、病院のスタッフたちだ。何しろ、病院のスタッフたちが、肥満患者を起こしたり、移動させるさいに受ける負傷の割合が、米統計局の労働災害に関する統計調査によると、全業種のなかで3番目に多いという。ある病院の関係者は、「看護する人たちの平均年齢は40歳半ば。年をとって経験を重ねた看護師が、大型の患者を取り扱って事故が起きないようにしなければならない」と話している。