2004年09月03日
ライス、パン、麺類、パスタ、ポテトなど、主食と言われているものは、でんぷん、つまり炭水化物である。最近アメリカでは、こうした炭水化物を減らして、肉類や乳製品をふんだんの食べるローカーボ・ダイエット(低炭水化物食事)が流行している。その動機は、ローカーボによって、短期間に減量が達成できる、という魅力だ。
こうしたローカーボ・ダイエットの風潮に、追い風となる新しい研究成果が、8月6日発行の雑誌「がんの疫学・バイオマーカー・予防」(CancerEpidemiology,Biomarkers&Prevention)で発表された。炭水化物を多く食べると、乳がんになりやすい、というのだ。この研究は、メキシコで行われ、ハーバード大学公衆衛生学部の栄養科主任教授、ウォルター・ウイレット博士と、メキシコの研究者の協力で行われ、アメリカのCDC(米疾病予防管理センター)、メキシコの厚生省、米がん研究所など後援した。研究は、新たに乳がんと診断されたメキシコシティの女性475人と、健康な女性1391人を研究対象に選んだ。
彼女らは、長い質問書が与えられ、時間をかけて書き込むように言われた。これは、ウイレット博士自身が開発した「栄養状態を知るための質問書」で、他の研究者も使っている。こうして、各人が毎日食べている食事のなかで、炭水化物が全摂取カロリーのどれほどの割合を占めているかを算出し、4つのグループに分けた。
その結果、炭水化物が食事の62%以上を占めている女性(第1のグループ)は、52%以下のグループ(第4のグループ)より、乳がんにかかっている割合が、2.2倍もあった、という。炭水化物の摂取が高いグループの女性は、乳がんだけでなく、糖尿病になりやすいなど、他の健康問題を抱えていることが明らかになった。メキシコ女性が主に食べている炭水化物は、トルティーヤなどトウモロコシ原料のもの、ソーダ、それにパンだ。
炭水化物の摂取が多いと、なぜ乳がんにかかりやすくなるのか。研究者たちは、炭水化物を多く食べると、食事の度に、一時的にも血糖値が高まり、同時にエストロゲンなど女性ホルモンの分泌が促されて、乳がんができる下地ができるからではないか、と説明している。ところが、この研究結果をアメリカ女性に当てはめてみると、議論の余地が出てくる。
アメリカ女性の食事に占める炭水化物の割合は、平均的に約50%と言われており、メキシコ女性で言うと、炭水化物を食べている割合がもっとも少ないグループになる。にもかかわらず、アメリカ女性の乳がんの割合は10万人当たり132人で、メキシコ女性の平均38人よりはるかに多い。これについて、食事と乳がんとの関係を知るには、炭水化物が占める割合だけでなく、食物繊維など他の栄養素も考慮に入れる必要がある、と研究者たちは言っている。