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2004年09月02日

“太ること”はきわめて人間的なこと--肥満者が反撃

「肥満は不健康のシンボルだ」「肥満者は自己管理がなっとらん、仕事の能率がわるい」「肥満のために医療費がかさむ」等々、アメリカでいま高まっている、肥満者への差別的風潮に、肥満者たちが、反撃ののろしを挙げた。
「肥満者の受入れを推進する全米連合」(NationalAssociationtoAdvanceFatAcceptance=NAAFA)の年次大会が、8月4日、ニュージャージー州ニューアークで開かれた。この大会は、太めの人たちの活動家が集まって、肥満者の平等な社会参加、職場での差別撤廃、政治的活動、を通じて、肥満者の解放運動を進める場だ。今年の大会は、いつになく、気勢が上がった。
その最大の理由は、米連邦政府が、今年(2004年)7月、肥満は病気であると規定して、「メディケア」(低所得者のための政府管掌健康保険)で、肥満治療を保険でカバーする、との方針を決めたからだ。米厚生長官は、「肥満は、重大な公的健康問題であり、そのために、年間1000億ドル(10兆円)の医療コストがかかり、30万人が命を落としている」と述べている。
これに対して、大会参加者の一人、アレン・ステッドハムさん(テキサス州オースチン)は、「肥満は絶対病気ではない。肥満治療を保険でカバーするとなると、胃を縛ってしまう肥満手術や、減量のためのダイエットも保険が使えるということになる。そうなると、肥満をネタに、莫大な金儲けをする者も出てくる」と発言した。
またある参会者は「ヘルシーな食事、運動を心がけると言うことは結構なことだが、みんながみんな減量しなければならない、と決めつけることには反対である。ダイエットをやった人の95%は減量に失敗している、という現実を見るといい。胃を縛る肥満手術を望む人が年々増えて、いまや年間10万人に達している。馬鹿げたことだ」と述べた。
ペンシルベニア州ランズダウンのフィットネス指導者、ケリー・ブリスさんは「胃を縛るとは、切断することと同じだ。必ず摂食障害が起き、患者は、その後長年にわたり、危険な健康問題に苦しむだろう。後世の人には、肥満手術は、ロボトミーのように、馬鹿げた手術だと映るに違いない」と話している。「あらゆるサイズの人の健康」を提唱しているフィットネス指導者であるブリスさんは、「人間はどんなサイズ(体重、体格)の人でも、すぐれた健康、容姿をもつことができ、品位を保つことができるようになる」との哲学をもっている。そして、「自分は、肥満戦争に破れた人たちに手を差し伸べて救済している」と言う。
NAAFAは、あらゆる「肥満者への差別」と戦っている。
例えば、1人前の座席では座れない肥満者に、切符を2枚買わせている航空会社(サウスエウスト航空など)に対して、この方針を撤廃するよう、断固反対の運動を展開している。戦闘的な活動家の一人であるマリリン・ワンさん(サンフランシスコ)は「肥満者をめぐる環境は、ここ数年歴然と悪化してきた。太る、ということは、自然な人間の特質なのに、これを病気と決めつけてしまう。何ということだ」と嘆いている。NAAFAのスポークスウーマン、メアリ・ウォーレイさん(ウイスコンシン州マディソン)は、「世の中は、いま、肥満者に対する敵意に満ちている。肥満をテロに次ぐ悪者のように言う連中もいる。こうした逆風のなかにあって、われわれは、常に冷静に、かつ、現実的に行動する団体でなければならない。意外なところにわれわれの同調者、支援者がいるものだ」と述べている。