2004年09月21日
1989年アメリカで、妊娠27週目の超未熟児が帝王切開で生まれた。母親に子癇(しかん)の症状があって、妊娠を続けると母子ともに危険と判断されたからだ。生まれたのは女の赤ちゃんだった。体重は9オンス(252グラム)。缶入りのコーラ(355グラム)よりもはるかに軽い。身長は10インチ弱(25センチ)。大人が片手の指をいっぱいに広げたほどの大きさだった。両眼に損傷があったが、手当の甲斐あって、視力を失わずに済んだ。
文献を調べても、これほどの小さな赤ちゃんが無事に育った、という記録はなかった。赤ちゃんをとりあげたイリノイ州メイウッドのロヨラ大学病院のジョナサン・ムラスカス医師も、「こんな小さくては生き長らえるのは難しいだろう」、と話していた。しかし、「マデライン」と命名された赤ちゃんは、懸命に生きた。4ヵ月間入院して無事退院できた。最初の1ヵ月間は特別哺育装置で育てられた。そしていま14歳になった。そこで、マデラインさんの近況を、ムラスカス医師はじめ関係した医師らが、8月19日発売の米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」で報告した。
それによると、マデラインさんは、現在身長約4.5フィート(135センチ)と同年代の子どもよりやや低い。しかし、眼が少し悪いのと、ぜんそく気味であること以外は、体は至って健康で正常である。学校の成績は、満点4の評価で3.7を得ており、優秀な生徒だ。特技のバイオリンは、先生も舌を巻く程の腕前。ムラスカス医師によると、27週の未熟児というのは、生き長らえるかどうかのぎりぎりの限界で、生きたとしても、生存率は5%からせいぜい10%だという。しかも、月足らずのハンディキャップは避けられず、失明、難聴、脳性麻痺が起きる割合がかなり高いのが普通だ。一般的に、未熟児の場合、男より、女の赤ちゃんの方が生き延びやすいという。その理由はわかっていないが、最近報告されたある研究によると、男の未熟児は脳に障害が起きやすいらしい。「いずれにしても、マデラインさんは、よくぞここまで正常に生きたものだ」と、ムラスカス医師は感慨にふけっている。