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2004年08月03日

体外受精卵を遺伝子診断して健康な赤ちゃん無事出産

ニューヨーク州シラキュースで、体外受精卵を遺伝子診断して、遺伝病が起きない受精卵を選択して妊娠に成功、今年(2004年)6月、無事、健全な女の赤ちゃんが生まれた。
マイク・マイケルは、妻のメアリーとともに、遺伝性の線維症の因子を持っていた。二人には、その病気は発症しなかったが、生まれてくる赤ちゃんに、25%の確率でこの命にかかわる呼吸器疾患が出る。二人の最初の子どもであるテスちゃんに、この遺伝病が出たことから、初めてその因子を持っていることがわかったのだ。今年4歳になるテスちゃんの育児は大変だった。朝となく夕となく、看病、世話に明け暮れた。そこで、2番目の子どもを生むときには、体外受精によって、妊娠前に遺伝子診断をすることを考えた。妻のメアリーさんから取り出した卵子と、夫のマイクの精子で受精卵をつくり、その胚を、シラキュースにある「CNY生殖センター」(CNYFertilityCenter)で遺伝子診断して、遺伝病が起きない胚を選別して、子宮に戻してやった。
着床前遺伝子診断(pre-implantationgeneticdiagnosis、PGD)と呼ばれるこの胚の診断は、5年ほど前から、アメリカの主な生殖クリニックで行われるようになっっている。PGDで診断できる遺伝病は、今のところ、鎌状細胞貧血、ハンチントン病、ダウン症候群などの染色体異常などだ。これらの遺伝病は、妊娠したあとからでも診断できる。しかし、いざ胎児に遺伝病があるとわかっても、妊娠後だと、中絶すべきなどうか、非常に難しい決断を迫まれることになる。だから、妊娠する前に遺伝病の有無がわかれば、中絶の問題は起きない。とは言っても、この着床前診断については、さまざまな意見がある。
まず、胚といっても、すでにスタートした命であるから、これをまるで雑草を引き抜くように、取り除いてしまってもいいのだろうか、という倫理上の問題を言う人がいる。また、事前に遺伝子を調べることで、男女の生み分けに、遺伝子診断が利用されるのではないか、という問題もある。このため、米生殖医学会でも、PGD(着床前遺伝子診断)の是非については、なかなか論議がまとまらなかった。
同学会は当初、男女の生み分けにPGDを利用することには反対の立場を取った。しかし、2001年に、同学会の倫理委員会は、生み分けにPGDを利用するかどうかは、医師の判断に任せることにした。ただし、事前の遺伝子診断でも、正確に男女を生み分けられないリスクを伴うことを、夫婦によく説明して、もし、希望通りの性の赤ちゃんが生まれなかった場合でも、その子どもを生み、育てることを、夫婦に約束させることを条件にしている。