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2004年06月03日

幼時に飢饉を経験した女性には乳がんが多い--蘭で調査

第2次世界大戦末期に、オランダ人が、一時的ながら大変な飢饉に見舞われた。そのころ、幼い子どもだった女性は、成人してから乳がんの発生率が明らかに高いことがわかった、とオランダの研究者が報告した。報告したのは、オランダのユトレヒト大学医学センタ-の研究者で、内容は、米国立がん研究所(NCI)の機関誌「国立がん研究所紀要」(JournalofNationalCancerInstitute)4月7日号に掲載されている。大戦末期の1944年秋から約半年間、ドイツによる出入港禁止措置のため、オランダの一部の地域で、ひどい食料難に陥った。配給は、大人1人当たり700キロカロリ-ま落ち込み、人々は、食糧あさりに奔走した。これは、「オランダ飢饉」(Dutchfamine)と呼ばれている。1980年代に行われた調査では、この飢饉を経験した約2万人の女性について。記載している。そこでは、飢饉時の空腹状態、体重減、などを調べ、その後の健康状態についても詳しく調べた。ユトレヒト大学の研究チ-ムは、これらの女性から任意に抽出した2355人について再調査した。その結果、2000年までに、585人が乳がんにかかっていた。調査の対象となった女性に、飢饉時のことを思い起こさせ、つらい目にあったその程度によって、飢饉の影響を分類したところ、食糧難の影響を最も大きく受けた女性は、そうでない女性と比べると、乳がんにかかった割合が48%高かった、という。とくに、飢饉時に2歳から9歳だった女性の乳がん発生率は、他の女性の2倍に達していた。一般に、摂取カロリ-を減らすと、がんにかかることが少ない、ということが、動物実験で確かめられている。人間では、摂取カロリ-とがんとの関係については、良く調べられていないが、ノルウエ-で、第2次大戦中、食糧の配給を受けた経験のある女性では、乳がんが少ない、という報告がある。つまり、摂取カロリ-が少なくなると、一般に、がんにかかりにくくなる、といわれているのだが、こんどのオランダでの調査はこれとは矛盾するように見える。この点について、オランダの研究者は、「子どものころに極端な食糧難を経験すると、ホルモンの分泌システムの発達に異常が起き、食糧難のころに飢餓状態に適応してしまったホルモン分泌の異常が、後年食糧が豊富になってからも続くのではないか、と推論している。日本でも、戦後の厳しい食糧難を経験した世代のその後の健康状態を調べてみたらどうだろう。