2004年06月20日
食事制限、エクササイズ、薬物、その他、さまざまな減量法に絶望した人たちが、最後のとりでとして頼りにしている「肥満手術」が、今、世界的に増えていることが、5月29日、チェコのプラハで開かれた「ヨ-ロッパ肥満会議」(EuropeanCongressonObesity)で報告された。これを報告した「国際肥満連盟」(InternationalFederationofObesity)によると、胃をしばったり、バイパスをつけて、吸収される食物量を減らす手術は、アメリカだけで1年間の10万件、ヨ-ロッパ全体で5万件行われており、その他のあらゆる減量のための手術を入れると、世界で1年間25万件の肥満手術が行われている、という。しかも、手術を希望する人は年々増え続けているが、一方で、どこの国でも、肥満手術ができる経験を積んだ外科医が不足している、という問題が起きている。デンマ-クのフレデリックスバ-グにある王立農獣医大学の肥満治療の権威、アルネ・アストル-プ博士は、「肥満手術の需要がこれほどに増えたのは、現在ある肥満治療法に不満な人が多いからだ。体重を減らすということが、本当に難しいことを反映している」と述べている。全世界でいま、肥満、ないし、太り過ぎ、といわれる人たちが17億人いる。こういう人たちは、糖尿病、心臓病、じん臓病、がんなどにかかるリスクが、正常な人たちよりもはるかに高いことがわかっている。肥満が増えた理由は、西洋風のライフスタイルによる食べ過ぎ、労働を不要とする技術の普及によって体を動かさない生活をするようになったからで、この傾向は、発展途上国についても言える、と報告は述べている。手術によって肥満を治療することのメリットは、簡単に減量が可能なこと、減量ができた後、その体重を維持しやすいことだ。肥満手術には、大きく分けて、2つのタイプがある。一つは、胃を中心とした消化器官にバイパスをつくって、食べたものが体に吸収される量を減らす方法。この方法は、食べたいものを好きなだけ食べられるので、とくに、アメリカで人気があり、減量という観点からは非常に効率がいい。しかし、副作用、ないし、合併症を引き起こす割合が高いのが欠点。しょっちゅう下痢を起こしたり、ビタミンやミネラル欠乏に見舞われるおそれがあるので、サプリメント(栄養補助食品)などで補う必要がある。第2の方法は、胃そのものを小さくする手術で、どちらかといえば、ヨ-ロッパでよく行われている。シリコンでできたバンドで胃をしばって、胃を上下2つの部分に分ける。バンドはきつくしばるのではなく、少し余裕をもたせてある。上部の胃は小さく、ここに食べ物が入ってくると、すぐにいっぱいになって、満腹感が起きる。だいたいコップ1杯ほどの食べ物で上部の胃は満杯になるという。上部の胃に入った食べ物は、2、3時間そこに留まった後、少しずつ下の方の胃に流れていく。そうすれば、食べる量を減らせる、というわけだ。その人の状態を考慮して、バンドをしめなおせば、上部の胃を大きさを調節できる、つまり、満腹感に到達するまでの食べ物の量を調節できるのがこの方法の特徴だ。しかし、欠点もある。長期間バンドでしばったままの状態で食べすぎたりすると、上部の胃が伸びきって、バンドの上から垂れ下がるようになる。そうなると、食べ物が下に流れなくなる。こうなると、再度手術が必要になる、という。