2004年05月31日
「GVAX」と呼ばれる肺がんのワクチンが、試験で好成績をあげたことが、2月18日発行の「米国立がん研究所報」(Journal of National Cancer Institute)で報じられた。
このワクチンは、テキサス州ダラスのベイラ-大学医学センタ-の研究者によって開発されたもので、製薬会社の「セルジェネシス社」(CellGenesis )が製造することになっている。
臨床試験のリ-ダ-、同大学のジョン・ネムナイタス博士(腫瘍学)によると、GVAXは、肺がんのなかでも「非小細胞肺がん」(non-small cell lung cancer)と分類されるがんにとくに効き目が強いという。
主に、喫煙によって発生し、治療がきわめて難しい、とされている肺がんによる死亡は、アメリカでは年間15万人にのぼっており、がん死のトップを占めている。
GVAXの試験は、43人の肺がん患者を対象に行われた。うち、10人は初期の肺がん患者、33人は進行がん患者で、いずれも、GVAXを2週間置きに注射し、これを3ヵ月間続け、その後3年間追跡調査した。
その結果、進行がんのうちの3人でがんが完全に消失した。この3人のうちの2人は、以前に化学療法を受けて効かなかった患者だった。
残りの進行がん患者では、病状が安定し、がんの拡散が止まった。
しかし、初期がんの患者に関しては、このワクチン投与によって、とくに変化は起きなかった。
GVAXは、体の免疫システムを刺激して、がん細胞を攻撃するタイプのワクチンだが、同様な手法で、皮膚がんやじん臓がんの治療も考えられる、とネムナイタス博士は述べている。
試験では、患者自身の腫瘍から採取した細胞に、「CM-CSF」と呼ばれる遺伝子を入れた。こうすると、細胞の表面に変化が起きて、体ががん細胞であると、認識しやすくなる。
この細胞を今度はワクチンに入れ、これを患者の腕、ないし、脚に注射した。
こうすることによって、体は、肺のがん細胞を容易に認識するようになり、がん細胞を攻撃、破壊するのだという。
ネムナイタス博士は、「肺がんに有効なワクチンができたのは初めてのことだ。しかも、長期間有効である。一番驚いたのは、このワクチンに反応した患者には、その効き目が完全に有効だったことだ」と話している。
同博士は、さらに、「効く人と効かない人がいると言うことは、ワクチンを最初にテストした時によくあることで、今後、他の薬剤との組合せなど、いろいろな工夫によって、有効度を高めることが可能だろう」と述べている。