2004年03月05日
FDA(米食品医薬品局)は2月26日、画期的な新型抗がん剤「アバスチン」を大腸がんの治療薬として認可した。
悪性腫瘍は、自分の成長のための栄養を補給するル-トとして血管を形成するが、これを阻害することによって、腫瘍の糧道を絶ち、餓死させるという、これまでになかった新しい薬理に基づいて開発された初めての薬がアバスチンだ。(ジャスネット通信第374号参照)
同じ原理を使って、今後、大腸がんだけでなく、さまざまながんの治療薬が誕生する可能性がある、と言われている。
アバスチンで大腸がんが治るわけではないが、少しでも延命効果が期待できるのだ。
試験結果によると、この新薬によって、大腸がんの患者の命が、15か月、ないし、20か月ほど延びた。
これは、一見、大した効果ではないように思えるが、これほどの延命効果が期待できるということは画期的なことなのだという。
というのは、今日使われている抗がん剤は、わずかな延命のために使われることが多く、その上、ひどい副作用で苦しむのが普通だ。
しかし、アバスチンは、毒性が低く、ほとんど副作用がないのに、従来以上に延命効果が期待でいるというのは、すごいことだ、と専門家は言う。さらに、もし仮に5ヵ月延命できれば、その間に、さらに有効な抗がん剤ができるかもしれないし、新しい投与方法が生まれるかもしれないのだ。
アバスチンを使用すれば、年間4万ドル(440万円)ほど余分に医療費がかかる。しかし、これまで開発に要した費用や時間を考慮すると、これは決して高くない、とメ-カ-のジェネンテック社は言う。
同社によると、アバスチンは、注文があれば、すぐにも医師の元に出荷できる態勢にある。
アバスチン開発の歴史は、1960年代にさかのぼる。
当時、ワシントンに近い米海軍病院(メリ-ランド州ベセスダ)の若い外科医だったジュダ・フォ-クマン博士(現ハ-バ-ド大)は、腫瘍から新しい血管が延びていて、そこから栄養が補給されていることを発見し、その血管形成をブロックしてやれば、腫瘍は餓死するだろう、と考えた。
この理論は、当初、専門家から馬鹿にされていたが、40年間の地道な努力が実って、今日、ようやくアバスチンが生まれたのだ。
アバスチンを実際に開発したバイオテクノロジ-会社のジェネンテック社は、バイオテクノロジ-企業の草分けとして1976年に創業。
同社は、これまでも、いくつもの新薬を世に送り出したが、経済アナリストによると、アバスチンと、今後登場するであろう関連薬品が、同社にとっても、バイオテクノロジ-業界にとっても、最大の製品となる可能性が高い、という。
実際、各種のがんをはじめ、新血管形成が病気の原因となっている病気、例えば、お年寄りに多い眼病である黄斑変性症の治療を目的として、すでに74種類の薬が、現在、各地で臨床試験にかけられている、という。
アバスチン認可の報に、生みの親、フォ-クマン博士は「これは、確かにがん治療に転換をもたらすことになる。何しろ、副作用が少ないのがいい」と述べている。