2004年03月17日
体を動かさない、移動は車、家では1日中座っている、そして、いつも何か飲み食いしている--こんな暮らしの行き付く先は、肥満という名の疫病であり、死を早める。
CDC(米疾病予防管理センタ-)が、3月9日、肥満が喫煙を抜いて、アメリカ人の死亡原因の一位になりそうだ、との警告を出した。
この場合、肥満、運動不足、喫煙が死亡原因、というのは、これらが、心臓病、がん、脳卒中、糖尿病などのリスクを高め、引いては死亡をもたらす、という意味である。
3月10日付けの、米医師会の機関誌「ジャ-ナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエ-ション」(JAMA)に掲載されたこのCDC報告によると、不健康な食生活と、運動不足がもとになって死亡した人は、2000年には推定40万人に上り、これは1990年より33%増えている。
同期間に、喫煙が原因の死亡者増は推定9%で、両者の差が縮まっている。
この傾向が続けば、肥満が死亡原因のトップとなる日は近く「心配されていた最悪の事態が確認された」と、CDCの所長で、この報告を書いたジュリエ・ガ-バ-ディンク博士は言っている。
この報告を発表した記者会見の席で、トミ-・トンプソン厚生長官は、「話は簡単だ。要するに、アメリカの紳士も淑女も、そして子どもまで、いまや太り過ぎになったということだ。そのためには、体を動かして、食生活を改善することだ。何も、本格的なエクササイズをしなくてもいい。無理をせずに、少しずつ運動を始めることだ。近くなら車に乗らずに歩くこと。そしてバスを利用すること。バスに乗ったら、一つ先の停留所で降りて歩くことだ。とにかく、これまでの、セデンタリ-(sedentary、座りっぱなし)のライフスタイルを考え直しなさい」と話している。
専門家の間で言われ始めたアメリカの「肥満亡国論」がいよいよ現実問題となってきたと言える。
こうした事態を憂えて、いまアメリカでは少しずつ、運動と食生活改善への動きが見え始めている。
例えば、ショッピングモ-ルには、「エスカレ-タ-に乗らずに、階段を使うと、それだけあなたの脇腹が引っ込みます」というポスタ-が張ってある。
CDCでは、9歳から13歳の子どもを対象に、もっと体を動かす運動を全米で展開している。
アメリカでは、小中校で体育の時間がないところが多く、あっても週一回程度、屋内で、おざなりに体操をするくらいだ。そこで、授業時間に体育を本格的に取り入れところが出てきた。
FDA(米食品医薬品局)では、レストランのメニュ-に栄養情報の表示を義務づけることを検討しており、また、現在、栄養表示を免除されている生鮮食品にも、何らかの形で、栄養に関する情報を付けさせることを考えているという。
ファストフ-ドチェ-ンのマクドナルドでは、ス-パ-サイズのフレンチフライやソフトドリンクを、全米1万2,000の店で、今年末までに廃止するという。
ソフトドリンク業界では、中身がもっとヘルシ-な飲み物をつくって、これを増やすことにしている。
多くの州で、学校内に自動販売機の設置を禁止したり、子どもたちが、買えないようにする措置を取り始めている。