2004年02月02日
診断用のエックス線検査で、エックス線を体に受けると、わずかではあるが、がんの発生率が高まることがわかった、と英オクスフォード大学の研究者が1月31日発行の英医学誌「ランセット」で発表した。
研究を行った同大学エイミ・ベリントン・ゴンザレス博士は「エックス線検査は、20世紀における重要な医学の進歩で、その恩恵は計り知れない。しかし、この検査によって、電離放射線をたびたび受ける人が増え、そのために、わずかではあるが、がんにかかりやすくなっている事実も知る必要がある」と述べている。
同博士らは、14の工業先進国のデータを使って、エックス線のタイプ、使用回数、線量などを調べた。そして、エックス線使用に伴うとみられるがんの発生数を推定した
その結果、全体のがんに占める、エックス線関連がんの発生の割合が、各国のなかで一番高かったのは日本で3%だった。その他、例えば、クロアチアが1.8%、イギリスやポーランドは0.6%だった。
日本は、調査した国のなかでは、エックス線の使用量が飛び抜けて多く、その使用頻度は国民1,000人当たり年間1,500回で、1人が1年に平均1.5回エックス線を受けていることになる。 この割合は、イギリスでは、1,000人当たり500回だという。
また、エックス線照射でどんながんが増えるのかについて、この研究では、男性では膀胱がん、女性では、肺がん、大腸がんが多いことがわかった、という。
これらの臓器は、エックス線検査などのさい、最もエックス線を受けやすいと見られている。
また、乳がん検査のマンモグラフィーについて、研究者たちは、「マンモグラフィーではエックス線が使われ、わずかな線量だが、乳房にエックス線が照射される。しかし、われわれの調べでは、とくに50歳以上の女性では、マンモグラフィーによって、がんの発生が増えることはないようだ」と話している。
アメリカでは、1981年に、エックス線検査によって、がんの発生が0.5%増えている、という調査結果が発表された。
今度のオクスフォード大学の研究では、アメリカの場合は、エックス線によってがんの発生が0.9%増加している、となっている。
これについて、研究者たちは、この20年間に、1回のエックス線検査の照射線量は減っているが、エックス線は医療のさまざまな場面で使われるようになり、エックス線の使用線量は全体として20%増えている、と言っている。